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ラ・ラ・ラ・メディテーション

ラ・ラ・ラ・メディテーション

モジュッド(スーフィーの物語)OSHO

           モジュッド(スーフィーの物語)

ハートはひとりの冒険者だ。神秘の探検家。
隠されているものすべての発見者だ。
ハートはいつも巡礼の旅に出ている。それはけっして満足しない。
それにはもっとも内奥の不満、スピリチュアルな不満がある。
けっしてどこにも落ち着かない。
動きを、原動力とても愛している。OSHO
           和尚サイン

あるとき、モジュッドという名の男がいた。
彼はある町に住み、そこで小役人としての地位を得ていたが
市場監督官としてその生涯を終えるものと思われていた。

ある日のこと
自宅のそばにある古代の建物の庭を歩いていた彼のもとに
ヒドゥル、スーフィーの神秘的なガイドが
緑色の光をかすかに放つ衣装を身にまとって現われた。
ヒドゥルは言った。

「前途有望なる者よ!
仕事は放り出して
三日のうちに私に会いに河岸に来るがいい」
そして彼は消えた。


モジュッドは、動揺したまま上役に会いに行き
去らなければならない旨を告げた。
町の人びとはみな、すぐにこのことを聞きつけて言った。
「かわいそうなモジュッド! あいつは狂ってしまった!」
だが、彼の仕事の後を継ぎたいと申し出た人がたくさんいたために
彼らは彼のことなどすぐに忘れてしまった。
約束の日に、モジュッドはヒドゥルに会った。
すると、ヒドゥルが彼に言った。
「着ているものを脱ぎ、流れに身を投じるがいい。
おそらく誰かがお前を助けてくれるだろう」

モジュッドは、自分でも狂っているのではないかといぶかりながらも、
その通りにした。

           蝶アニメ

彼は泳げたので、溺れなかった。
だが、ひとりの漁師がこう言ってその舟に引き上げてくれるまで
長い距離を流された。
「馬鹿なやつだ! 流れは強いんだよ。
いったいなにをしようとしていたのかね?」モジュッドは言った。「ほんとうのところは自分でもわからない」

「お前は狂っているんだ」と漁師は言った。
「だが、お前を河の向こうにある、葦(あし)で葺(ふ)いた私の小屋に連れて行こう。
お前になにをしてやれるかは、それから決めよう」
漁師はモジュッドがことば使いが巧みなことを知って彼から読み書きを学んだ。
それと交換にモジュッドは食事を与えられ
漁師の仕事を手伝った。

二、三か月すると、
ヒドゥルが再び、今度はモジュッドのベッドの足もとに現われて言った。
「さあ、起きて、この漁師のもとを去るがいい。
必要なものは与えられる」


           蝶アニメ

モジュッドはすぐに小屋を立ち去り
漁師の服を着たままさ迷い歩いて行くうちに、本道に出た。
夜も明けようとするころ、彼はロバに乗って市場に向かう途中のひとりの農夫に出会った。
「仕事を捜しているのかね?」
と農夫はたずねた。
「というのも、買ったものを持ち帰るのに、ひとり助けがいるんだ」

モジュッドは彼について行った。
彼は二年近くその農夫のために働き
その間に、ほかのことはさておき、
農業をすっかり学び取った。

ある昼さがりに
彼が羊毛を梱(こり)に詰めていると
ヒドゥルが彼のもとに現われて言った。
「その仕事はそのままにして
モスルの町まで歩いて行き
自分の貯えを使って革商人になるがいい」

モジュッドは従った。

           蝶アニメ

モスルで彼は革商人として知られるようになったが
商いに精を出した三年の間
ヒドゥルには一度も会わなかった。

           蝶アニメ

彼はすでにかなりの金を貯えていて
家を一軒買うことを考えていた。
するとそこに、ヒドゥルが現われて言った。
「お前の金を寄こしなさい。
この町を出て、遠くサマルカンドまで歩いて行き、そこにいる、ある雑貨商のために働くがいい」
モジュッドはそうした           

           蝶アニメ

ほどなく彼は光明の疑いようのない兆しを見せ始めた。
彼は病人を癒し、ひまなときには店の仲間に仕え、神秘についての彼の知識はますます深まっていった。
聖職に就いている者や哲学者たち、さらにほかの者たちも彼を訪ねて来て聞いた。
「あなたは誰のもとで学ばれたのですか?」

「言うのはむずかしい」とモジュッドは言った。

彼の弟子たちはたずねた。
「あなたの遍歴はどのようにして始まったのですか?」

彼は言った。「小役人としてだよ」
「それで、あなたは禁欲に身を捧げるために、それを放棄されたのですね?」

「そうではない、ただ放棄しただけだ」
彼らは彼を理解しなかった。

その生涯の物語を書こうとして、
人びとが彼に近づいて来た。

           蝶アニメ


「あなたの生涯はどのようなものだったのですか?」と彼らはたずねた。
「私は河に飛び込み、漁師になり
それから、葦(あし)で葺(ふ)いた小屋を真夜中に抜け出した。
その後、私は作男になった。
羊毛を梱(こり)に詰めているうちに、私は変わり、モスルに行き、革商人になった。
そこで私はいくらか金を貯えたが、人にあげてしまった。それから、私はサマルカンドまで歩いて行き、そこの雑貨商のために働いた。そしてこれが、今ある私だ」

「しかし、この説明できない行動だけでは、あなたの不思議な天分とそのすばらしい実例に光を投げかけることにはなりません」と伝記作家たちは言った。

「それはその通りだ」とモジュッドは言った。

そこで、伝記作家たちはモジュッドに代わって、すばらしい、胸のすくような物語を仕立て上げた。聖者たちにはみな、自らの物語がなければならず、しかもその物語は生の現実にかなったものではなく、聞き手の望みを満たすものでなければならないからだ。

そして、ヒドゥルのことを直接話すのは、誰にも許されていない。
この物語が真実ではないのはそのためだ。
これは生を言い表わしたものだ。

これが、もっとも偉大なスーフィーのひとりの、真実の生だ。

                      MM

MOJUD-OSHOの講話 ---------------------------------------------------------------------

今日、私たちが入って行こうとしている物語は、もっとも偉大な物語のひとつだ。それには、スーフィーの物語にしかありえない、あの独特な香りがある。それと比較できるものはほかにない。もしこの物語を理解できたら、あなたは宗教の秘密そのものを理解したことになる。もし理解できなかったら、あなたは宗教をまるで理解することができないだろう。
これは、宗教的な意識の基盤そのものに属している。それがなければ、宗教的な変容はありえない。だから、この物語をできるだけ注意して聴きなさい。この物語をあなたの実存に沈み込ませなさい。この物語は、ひとつの扉を開くことができる。この物語は、あなたの生における非常に根本的な変化になりうる。そのために、あなたは二度と再び同じではなくなるだろう。だが、物語はまさに細かいところまで、非常に注意深く、とても愛にあふれた態度で理解されなければならない。というのも、これは不思議な物語だからだ。

これはただの物語ではない、スーフィーの物語はただの物語ではない。それはあなたに娯楽を与えるためのものではない。なにか携わるものをただ与えるためのものではない。それは教えるための仕掛けだ。それはなにかを暗示する、なにかを示す、なにかを指し示す。それは〈指し示すもの〉だ。未知なるものに的を定めた矢、月を指し示す指。だが、スーフィーのこのことばを覚えておくがいい、「私の指に噛みついてはいけない。私が指し示しているところを見なさい」

こうした物語を娯楽として楽しむことは非常に簡単だ。だが、それが物語の目的ではない。あなたは要点を取り逃がす。それは、〈彼方なるもの〉の反映だ。それは、言えないことを言う、表現できないことを表現しようとする。それは、普通の生活に関するものではない、世俗的な世界に関するものではない。それは、真理を求めるもっとも内奥の探求に属している。あなたの実存の中心に属している。それはすばらしい仕掛けだ。

もし、あなたがまさに注意を払っていたら、この物語に瞑想したら、物語と並行してなにかほかのことが、あなたの実存のなかに自らを現わし始める。物語はひとつの局面上にある。が、その顕現はもうひとつ別の局面上にある--物語と並行して。並行してあるその顕現を味わい始めないかぎり、いいかね、あなたは要点を見逃したことになる。そして、要点を見逃すのは非常に簡単だ。要点を見逃すのに知性はいらない。どんな馬鹿にでもできる。だが、理解するには……大いなる知性が要求される。

和尚3


だから自分をひとつに引き寄せなさい。ここしばらくの間は、まとまっていなさい。できるかぎり全体的に聴きなさい、まさに自分の耳になりなさい。そこにいなさい。なにか途方もなく貴いものが、この物語には分け与えられている。(後略)
                          和尚サイン




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